ポール オースター [Smoke]

2.Nov.2003
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早速、昨日の続き。
監督が ポール オースターだと思い込んでいた「smoke」は、実はウェィン ワンが監督で、オースターは脚本だった。ネットでオースターのページを見てわかった。
3本の映画で、それぞれ使われていた音楽も特徴的だった。
スパイク リーの「summer of Sam」はポップなブラックミュージック、アレンの「Manhattan」ではほとんどがガーシュイン、ワンの「smoke」ではラストシーンで流れるカバーバージョンの "Smoke gets in your eyes"が妙に耳に残り面白かった。
 よく知っている聴きなれた曲も映画のシーンのなかで流れて来ると、また新しく響いてくるのに驚く事がある。
よくある、森や泉等の自然の映像のバックで流れて来て、いかにも癒されましょう、などと言うようなものではない。オイラが感じるのは、その映画のなかで分かる登場者達の、切なさや悲しみ、 喜びや希望、怒りや憎しみ等々の人間の感情が、バックで流れている音楽と重なり、より深く理解出来る、そんな時だ。
それまではただ乱暴なサウンドだと思っていた曲が、ある映画のなかで聴いた時とても悲しい曲に聴こえたり、とても綺麗なメロディの曲が、 絶望的なシーンにぴったりで恐くなったり、見事に、今までの曲に対する先入観が変えられてしまう。
一曲が、聴く人により、様々な色合いに変わるのだ。

「smoke」のラストシーンは感動ものだ。
タバコ屋の主人役の、ハーヴェイ カイテル(昔から大好きなアクター!)が、身寄のない盲目の老婆に対して、何十年ぶりで帰って来た彼女の孫になりきり、 二人でクリスマスを祝うという、 クリスマスストーリーの場面。だがさすがオースターでただの、お涙ちょうだい、では終わらずシャレたおちがあるのだが・・・・

それはさておいて、エンディングの白黒でアップになる画像が最高だ。
カイテルと盲目の老婆がぴったりと頬をくっつけている画像。
その表情というより、二人のそれぞれ顔に刻まれた皺が何とも言えず美しく見えた。
二人の皺が、しっかりとした線でその絵の絶妙なバランスをつくっていた。
あの写真のコピーが欲しい!! そしてそこに名曲 "smoke in your eyes" が流れて来る。 美声のプラターズの『煙りが目にしみる』ではなく、 悪声?の『煙りが目にしみる』だ。サウンドもロマンティックとはほど遠く、粗雑に響く。が、これが実にイイのだ!この映画にはぴったりなのだ!
 これぞニューヨーク映画のイキなところと、一人でニンマリとして嬉しくなる。ぞくぞくして鳥肌ものだ。

  映画と音楽。まるで永遠の恋人の関係の様に思える。

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